2024年11月30日(土)、カトリック北一条教会オルガニストの大野敦子氏をお迎えして公開講座「オルガンに親しむⅡ― オルガンの歴史―」を開催しました。
今回の講座では、今後のオルガン講座の予備知識となるよう、オルガンの歴史を概説的にお話しいただきました。
紀元前3世紀半ばにアレクサンドリアのクテビシオスによって考案されたと言われるオルガンですが、必ずしもはじめからキリスト教と結びついていたわけではありません。キリスト教化が進みつつあった西欧世界にオルガンが普及する契機となったのは、8世紀半ば、東ローマ皇帝コンスタンティノス5世がフランク王国のピピン3世にオルガンを贈った出来事でした。以後、ポータブルのオルガンが聖歌隊指導用に用いられる一方、教会や修道院にはもう少し大きなオルガンが設置されるようになりました。さらに何本ものパイプを備えた大きなオルガンを小さな鍵盤で操作できるようにするなどの改良が加えられ、次第に今日のオルガンに近づいていきます。
現在でも演奏可能な最古のオルガンは、1536年に制作されたスイス、シオンのヴァレール教会にあり、この頃からいわゆるオルガン音楽の発展が始まります。プロテスタント諸派やカトリック教会それぞれでの礼拝の違いや、音楽の使い方の違いに応じて、またスウェーリンク、ブクステフーデ、フレスコバルディ、バッハなどの演奏家やその時々の優れたオルガン製作者の出現によって、オルガン音楽は地域的にも多様に展開していきました。
講座では図像や動画も交えて古代から近世に至るオルガンの歴史がわかりやすく説明され、たいへん好評をいただきました。ご来場いただいた皆様に感謝申し上げるとともに、今後も大野敦子氏とともに皆様の関心にお応えできる講座づくりを目指していきたいと存じます。